こんにちは!神職の けん です。
今回は、岐阜県の徳川ダムの見学に行ってきたので、その体験談を記します。
目次
徳山ダムの見学申し込みは水と森の学習館への電話から
見学は徳山ダム下流4kmの地点にある水と森の学習館が担当しています。
この施設の開館時間は午前9時から午後4時、月曜休館です。
予約は電話(0585-52-0166)からすることができます。見学料金は無料です。
かつては、8月1日の「水の日」、8月1日〜7日を「水の週間」として、ダムを開放した特別見学会を行っていましたが、令和7年より停止されています。
徳山ダムはどこ?岐阜県揖斐郡斐川町に所在
徳山ダムは岐阜県揖斐郡揖斐川町にて、平成11年に工事が開始され、平成20年に完成されたダムで、国内最大の総貯水容量(6億6,000万㎥)・堤体積(約13,700,000㎥)を誇ります。
ダムの建設に際して、下開田、上開田、山手、櫨原、塚、戸入という7つの集落が沈み、門入という集落は水没を免れたものの、主要道路の水没により、往来ができなく成りました。
ダムの北側には、福井県と岐阜県の県境の冠山の山頂が見え、これが揖斐川の源流です。
冠山は中央分水嶺という、降った雨が日本海側・太平洋側のどちらに流れるかの境になる山で、日本海側に注ぐ九頭竜川水系日野川の支流である足羽川(あすわがわ)の水源にもなっています。
写真左側に写っている山頂が冠山です。

徳山ダムはロックフィルダム形式でコア・フィルタ・ロックから成る
徳山ダムはロックフィルダムという形式のダムで、主に岩石や砂を積み上げて作られており、徳山ダムは写真のように岩石が並べられたような見た目をしています。
構造は粘土質のコア、コアの流出を防ぐための砂で作られたフィルタ、ダムを安定させるため岩石で作られた表層であるロックから成ります。
ロックは下の写真のようになっています。30万個もの岩石が使用されており、小さい岩石の多くは手積みされているそうです。
間近で見ると、よく見るコンクリート打ちっ放しのものとは形式が異なり、珍しいダムであることが分かります。

岩石は北側の山で採掘されており、ダムから北側を見ると、採掘された山が確認できます。

徳山ダムの四つの役割「洪水調節、流水の正常な機能の維持、新規利水、発電」
徳山ダムは洪水調節、流水の正常な機能の維持、新規利水、発電の4つの役割を担っています。
洪水調節とは洪水を防ぐために、川の水量を調整すること。
流水の正常な機能の維持とは、川にいつも一定の水が流れるようにすること。
新規利水とは、岐阜県、愛知県の水道用水・工業用水として供給を生み出すこと。
発電とは、中部電力水力発電所でクリーンエネルギーを生み出すことで、16万4000kWが発電されています。
徳山ダムの設備「洪水吐」の機能・役割と最大貯水可能地点
ダムの西側には、洪水吐という水を吐き出す設備があります。
日常は、この後紹介する放流管設備で放流量を調節し、発電をしながら水を下流に流していますが、放流管設備で処理できないほどの水が溜まった場合に、洪水吐から直接水を流しています。
現在は観光防水は行われておらず、洪水吐が使用されるのは年に数回しかありません。さらに、防水は夜間に行われることが多く、滅多に見ることができないそうです。


ダムから見た貯水域側は下記の画像のようになっています。

写真右側(ダム東側)にある赤と白色の看板はダムの最大貯水可能量の位置を示すもので、この地点は標高401mです。
この地点に水が溜まったことは、ダム建設時の試験湛水しかありません。
徳山ダムの立入禁止エリア内の見学に進む
さて、ここから立ち入り禁止エリアに進んでいきます。
まずは、エレベーターを降り、ダムの内部へと足を踏み入れました。
内部は10℃台前半で、私の訪問時は夏でしたので大変肌寒く感じました。ダム内部は通年、この気温に保たれているそうで、冬は暖かく感じるそうです。
ちなみに、ダム内部には安定した気温を利用して、お酒を熟成させるために、このように酒瓶が置かれています。

ここでは、「徳の山」という日本酒で、道の駅で販売されているそうです。
なお、徳山ダムの下流にある横山ダムでは「藤の橋」という日本酒が熟成されているそうです。

通路を進み、放流管設備の行っているゲート室に向かいます。
通路の端に目を向けると、水路とダクトがありました。上の写真には左下に水路、右上にダクトが写っています。
水路にはダムに降り注いだ雨を集めて、下の写真の機械から流しています。ダクトはダム内部に空気を送るため、これから向かうゲート室まで続いています。


放流管設備は徳山ダムの蛇口の役割を果たす
通路を進んでいくと、放流管設備を現れます。

三つの放流管があり、左から利水放流分岐管、利水主管設備、水位低下用設備という名称が付けられています。
これらの設備は水道の蛇口のような役割を果たしていて、ダムの水をどれだけ下流に流すかを操作しています。
利水放流分岐管は1秒あたり20㎥、利水主管設備では1秒あたり100㎥、水位低下用設備では1秒あたり200㎥の水を流すことができ、水位低下用設備には、25メートルプーフ25mプールを1.5秒で満水にする能力があります。
この設備は大規模な地震等があった際に、急速にダムの水を抜いて、破損を確認するためのもので、これまで1度も使用されたことはないそうです。
ダム内の700段にも上るメンテナンス用の階段
次に通路を引き返し、エレベーター付近から分岐していた通路に進みます。
通路の先には下へ200段、上へ500段、計700段の階段が続いていました。階段は大変急で、数段登って上を見上げると、直角に見るほどでした。
この階段の端にも水路が作られており、これは滲み出る地下水の色を確認することで、ダムの破損がないか確認するためのものだそうです。
1週間から十数日に1回程度、ダムの職員が700段の階段を上り下りし、安全を確認しているそうです。

人道トンネル(リムトンネル)はダム建設時の地盤補強用

これでダム内部の見学を終え、地上に戻って、上記の入口から人道トンネル(リムトンネル)内部に進みます。
人道トンネルはダムを建設する際に、ダム下の地盤を補強するため、コンクリートを地中奥深くに流し込む工事を行ったトンネルです。
トンネル内の地面には穴を埋めた跡が続いており、かつてはこの穴から地盤にコンクリートを流し込んでいたそうです。

人道トンネルは、現在のダムの運営に直接必要というわけではないそうですが、この地方は冬は豪雪に見舞われるとのことで、この後に向かう選択取水設備までの除雪作業の必要ない通路として使用するため、新たに工事を行い、トンネルが延ばされています。
新たに作成されたトンネルには、壁面・天井がコンクリートで頑丈に補強された部分とそうでない部分があります。下の画像の手前が頑丈に補強されている部分、奥がそうでない部分です。

これは地層の強度によって使い分けされているそうです。
また、コンクリートで頑丈に補強されている部分を進むと20/25という文字が彫られています。
これはコンクリートの厚さを示すもので、20cmと25cmの業界部分を示しているそうです。

選択取水施設では水深70mの内から、下流域の温度が15度になるように水を選び取る
トンネルを進むと、選択取水設備の前に出ます。

選択取水設備にかかる橋はグレーチング床版橋(床板橋)という格子状の金属が用いられています。
これは先ほど紹介したように、この地域は豪雪地帯でもあるため、積雪を防ぐための構造です。
選択取水設備棟の内部には、このような巨大な機械が置かれており、下は水深70mまで続いているそうです。

これだけ深い湖だと、上層は23度程度、下層は5度程度と大きな水温差があります。
揖斐川下流には水温計が設置されており、これが示す水温が15度になるよう、水を取り込む位置が調整されているのです。
この調整は、生態系の維持や農業用水としての活用のため、大変重要です。
まとめ
徳山ダムの見学では、日本最大の貯水容量を誇るダムの迫力だけでなく、その内部まで見学できる貴重な体験ができました。
ロックフィルダムの構造や放流管設備、700段の点検用階段、人道トンネル、選択取水設備など、普段は見ることのできない設備を間近で見ることで、ダムが洪水対策や水道・農業用水、発電、生態系の維持まで、多くの役割を担っていることを実感しました。
見学は無料・事前予約制で、案内を受けながら内部を見て回れるため、ダムに興味がある方はもちろん、夏休みの自由研究や親子でのお出かけにもおすすめです。
岐阜県を訪れる機会があれば、ぜひ徳山ダムの見学に足を運んでみてはいかがでしょうか。