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神宮に奉納する塩をつくる所管社・御料地「伊勢市二見ヶ浦の御塩殿神社と塩田」

神道において神々に神饌を奉るということは非常に重要なことであり、塩・酒・米は特に重要と考えられてきました。

神宮においては大御神に奉るための御塩を御塩殿神社でつくっています。

今回は御塩殿神社について詳しく説明していこうと思います。

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二見の塩が神宮に奉られる理由は佐見都日女と常世思想にある「御塩殿神社の創建・由緒」

御塩殿神社の創建は垂仁天皇の御代の内宮の創建と同年代と言われています。

天照大御神の鎮まる土地を探して各地を巡行していた倭姫命が現在の二見の辺りにいらっしゃったとき、土地神である佐見都日女に出会ったそうです。

倭姫命が佐見都日女に土地の名前を尋ねましたが佐見都日女は耳が不自由であり、この問いを理解することができず御塩を差し出されたそうです。これを由縁として二見の塩が神宮に奉納されることとなりました。

佐見都日女はこの功を機会に堅田の社を定められ、堅田神社の御祭神とされました。堅田神社が鎮座するのは音無山と呼ばれる山ですが、これを別名「御塩山」とか「佐見山」というそうです。

 

また、日本という周囲を海に囲まれた国において二見という地に塩田が設けられることとな田理由には常世思想も関係しているのではないかと考えられます。

記紀等の神道古典でも常世の国という世界の存在が僅かながら語られており、常世の国とは海の彼方にある不老不死の理想郷であると解釈されています。常世の国の明確な位置については確かな説は存在していませんが、ある説では東の方角にあるとされており常世の国からの風・波が押し寄せる地が紀伊半島の東端に近い位置である二見であると考えることもできます。

 

御塩殿神社の御祭神は海幸彦山幸彦に登場する塩椎神

御塩殿神社の鳥居を出た先に二見町教育委員会による案内板があり御祭神は塩筒神とされていますが、神宮の公式見解では塩椎神とされているようです。

 

御塩殿神社の境内には社務所を除いて3か所4棟のお社がありますが、このうち塩椎神を祀っているのは入って左側にある境内では最も小さいお社です。上記写真のお社です。

 

正面にある大きなお社と勘違いされる方も多くいらっしゃいますが、これは御塩殿と呼ばれるもので御祭神をお祀りしているわけではありません。御塩殿の正面には鳥居も建てられていていていかにも本殿のような様子で、実際の本殿には鳥居がないことが気になりましたが、かつての境内図会には4つの鳥居が描かれており、昭和ごろに何らかの理由で本殿前の鳥居は取り払われたようです。

御塩殿神社というと神宮に奉納する絹織物・木綿織物をつくっている機殿神社と比較されることが多いですが、こちらも人間が作業を行う八尋殿には鳥居があり、本殿には鳥居がありません。

また、機殿神社の話が出たついでにお話しておくと、機殿神社の八尋殿には千木・鰹木があって本殿と似たような形式でつくられているのに対して御塩殿神社の御塩殿には千木・鰹木がないのは、機織りとは高天の原とよばれる天照大御神が統べる天上の世界で行われていたことであるのに対して、塩造りは我々が生きているこの世界で行われることであるからという話を聞いたことがあります。

 

 

御塩浜から持ってきた鹹水を御塩汲所に蓄え、御塩焼所で塩にし、御塩殿で固める

塩をつくる際には塩田に海水を引き、塩分濃度を高めた海水の水分を蒸発させるという工程を踏みます。

こちらが神宮の塩田、御塩浜です。私の行った時期には海水はたまっていませんでした。

ちなみにここまで私は何度も海水海水と申しておりますが、水を引き入れているのは五十鈴川の汽水域からです。これには純粋な海水から塩をつくるよりも淡水が少し混ざっている方が細かい塩ができるという事情があるようです。

かつては御塩殿神社近くで揚浜式でつくられていましたが、近代になってからは以下のような装置を用いた入浜式を採用しています。

 

 

御塩浜でつくられた濃い塩分を含んだ水を鹹水と言いますが、これを御塩浜神社の境内にある御塩浜汲入所に運ばれ蓄えられます。

御塩浜汲入所に蓄えられた鹹水は御塩焼所で水分を蒸発させ我々が普段見ているような塩が出来上がります。

画像右に見切れているのが御塩浜汲入所で、左が御塩焼所です。どちらも天地根元造という貴重な建築様式でつくられています。

 

御塩焼所でつくられた塩は3月と10月にそれぞれ10日間の期間かけて御塩殿で焼き固めて堅塩に加工されます。堅塩とは三角柱に焼き固められた塩で神宮にはこの形で奉られます。

堅塩にする際には火鑽具を用いてだした鑽り出した清浄な日を使いますが、2日目以降は前日から残った種火を探しそれをもとに火をつけるようです。

 

 

 

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