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三重県の伊勢神宮がユネスコの世界遺産に登録されないのはなぜか?神主が理由をわかりやすく解説

伊勢に観光に行って訪れないという人はいないだろうと言えるほどに日本国民から愛されている伊勢の神宮ですが、世界遺産には登録されていません。
垂仁天皇の御代の創祀から2000年近くの歴史を持ち、皇室の祖先神である天照大御神をお祀りする由緒正しいお宮であるにも関わらず世界遺産に登録されていないのは何故なのか、その理由を紹介していきます。

常若の思想「伊勢の神宮はいつでも若々しい、死んでいない」

伊勢の神宮は2000年もの歴史を持ちながらその社殿は美しい様子を保っています。
それは式年遷宮を行い20年に1度、社殿を新しく造り替えているからです。
式年遷宮についての詳しい内容はこちらで詳しく説明していますのでこちらをご覧ください。

簡単に説明しますと、式年遷宮が行われる理由はいくつか考えられますが、ひとつには常若の思想が関係しています。
常若とは常に若々しく美しいという意味です。

さて、ここで世界遺産とはどのようなものか記しますと、これまでの人類が遺した顕著な普遍的価値を持つ物件が登録されるものです。

つまり、過去に作られた死んだものという印象があり、これは常若の概念をもって新しい社殿を更新し続ける伊勢神宮とは全く相容れないのです。

 

伊勢の神宮の式年遷宮を環境破壊と指摘する者もいる

式年遷宮では樹齢200〜300年の木を用いています。
これは長い年月をかけて成長した木ほど丈夫であり、育った年数と同じだけの耐久性を持つと言われているからです。

式年遷宮というと20年に一度行われているため、何十年・何百年という耐久性は必要ないように思えますが、伊勢の神宮の社殿は式年遷宮で役目を終えた後も神宮とゆかりの深い神社の社殿に造り替えられる他、内宮外宮の棟持柱は宇治橋の鳥居に転用され、そのさらに20年後には桑名の七里の渡しや関宿の東追分に移されています

さらに長い年月をかけて成長した木を用いる必要があることを示す資料を加えて紹介します。
みなさんが電車を利用して伊勢に訪れる際には多くの方が近鉄の伊勢駅を利用されると思います。
伊勢駅を出ると目の前には鳥居が建てられていますが、これは神路山の木を用いてつくられています。神路山はかつての神宮の御仙山で、将来、式年遷宮の御用材を伐り出すための植樹活動が進められています。
その活動の一環としてまびきがおこなれており、まびかれた80年ものの木が伊勢市駅前の鳥居には用いられています。
その鳥居を見るとヒビが入ってしまっています。
80年というと私たちにとっては長い年月に感じられますが、自然からすればあっという間の期間なんですね。

ここまで20年に一度という頻度で何百年という樹齢も持つ木が用いられている理由についてお話ししてきましたが、これは環境保護やサステイナビリティという言葉がトレンドとなっている現代においては時代と逆行する動きであり、式年遷宮はすべての人が手放しで賞賛できる内容ではないのです。

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