今日では祭典は神社で行われることが一般的ですが、神道では神様はあらゆるところに存在すると考えるため、みなさんが住んでいる土地や家も祭典を行うべき場所に含まれます。
神職が神社の外に出て、祭典を行うことを「出張祭典」や「外祭」といい、有名なものだと地鎮祭や竣工式が挙げられます。この他にも入居清祓、樹木伐採清祓、埋井祭など、種類は無限に挙げられ、祭典の対象となる神様も無数に存在します。
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目次
出張祭典(外祭)の流れは修祓・降神・献饌・祝詞奏上・清祓等・玉串拝礼・撤饌・昇神
出張祭典の式次第は段落のタイトルの通りですが、それぞれの内容を簡単に紹介します。
修祓:祭典に先立ち、穢れを祓う
降神:祭場に神様をお呼びする
献饌:神様にお供え物を奉る
祝詞奏上:祈願の旨を神様に申し上げる
清祓等:切麻を撒き、対象の場所を祓い清めるとともに土地・建物の神様にお供えする
玉串拝礼:神様に玉串を捧げて祈願者自身が拝礼する
撤饌:神様へのお供え物を下げる
昇神:神様に元の場所へお帰りいただく
以上が簡単な式次第の紹介ですが、祭典の内容や状況によって祭典の始めと終わりにあたり神職が一礼をする「斎主一拝」を行ったり、地鎮祭等では盛り砂を崩す地鎮行事を行ったりもします。
降神とは降神詞を奏上し、祭典(お祭り)の対象となる神様を神籬にお招きする儀式
さて、先の段落では出張祭典の式次第を紹介しましたが、このページで主となるのが降神・昇神の部分です。
降神・昇神で神様をお招き・お送りするにあたって、それぞれ降神詞・昇神詞を奏上します。
「掛けまくも畏き○○○○○神、この神籬に天降りませと恐み恐みも白す」
○○○○○の部分が神様の名前で、その祭典に関係する神様のお名前を読み上げます。
出張祭典(外祭)の神様の名前を一覧で分かりやすく紹介
ポイント
雨:弥都波能売神
井戸:弥都波能売神・御井神・生井神
建物:屋船久久能遅神・屋船豊受姫神
建築:屋船久久能遅神・屋船豊受姫神・手置帆負神・彦狭知神
食物:保食神(穀物については宇迦之御魂神も併せ祀る)
医学:大己貴神・少彦名神
酒:少彦名神
温泉:大己貴神
武道:武甕槌神
芸能関係の催物:天鈿女神
火:加具土神
学校:思兼神・菅原道真神
風:級長戸辺神
川:瀬織津姫神
船:大綿津見神
漁業:大綿津見神
金・鉱物:金山彦神
埋井祭等の水関係の出張祭典(外祭)では弥都波能売(みずはのめ)神をお招きする
水が関係する出張祭典(外祭)では弥都波能売神が祭典の対象となります。
イザナギ命、イザナミ命が様々な神々をお生みになった後、今度は火を司るカグツチ神をお生みになりました。この時、イザナミ命は陰部をカグツチ神の炎で火傷してしまい、その際に苦しんだイザナミ命が排出した吐瀉物・大便・尿から様々な神が生まれました。この時、尿から生まれたのが弥都波能売神です。『古事記』
神名の「ミズハ」という部分の語源は、水早や水走、水際など諸説ありますが、基本的には水に関係する神と考えられています。
このようなことから、弥都波能売神は河川や井戸などの水に関係する祭典の対象と考えられています。