豆知識

古代から皇統断絶の危機を乗り越えてきた天皇家「女系天皇容認の必要はあるのか」

近年、皇位継承問題について議論されています。女系天皇容認派の中には「皇統断絶」すなわち天皇は世襲のものではなく、とあるタイミングで血統がすり替わっているということを主張する者がいます。

確かに過去3回ほど皇統断絶の危機に瀕していましたが、見事にその危機を乗り越えて2000年以上天皇は日本に存在し続けています。

たむ
今回は皇統断絶の危機3つを取り上げて紹介します。

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皇統断絶の危機1 武烈天皇から継体天皇へ【古墳時代】

たむ
まず最初の皇統断絶の危機は第25代武烈天皇の時です。

武烈天皇は第24代仁賢にんけん天皇のもとに生まれました。春日娘子かすがのいらつめを皇后としますが、男女とも子が生まれぬまま崩御し、皇位継承問題が生じます。武烈天皇は第16代仁徳にんとく天皇の血統でしたが、この血統での承継が不可能となったわけです。

そこで、現在の北陸地方を治めていたとされる第15代応神おうじん天皇の子 稚野毛二派皇子わかぬけふたまたのみこ(仁徳天皇の弟)の血統から天皇を選ぼうということになり、応神天皇の五世孫が即位し第26代継体天皇となったのです。

 

こうして皇統断絶は免れたわけですが、皇統断絶を主張する者の中には ここからさらに「王朝交代説」なるものを唱える者もいます。王朝交代説とは実際には全く関係のない血統の者が皇位に就いており、王朝の交代が行われていたとする説です。

しかし、これについて私はこう反論します。

当時、最低でも東は関東、西は九州までを統治していたと考えられる王朝が倒れ、王朝交代があったとするならばどこかで戦闘が起こるはずです。よそ者が急に朝廷に乗り込んできて「今日から私の一族が天皇になります」なんて言っても、それまでの天皇に従ってきた家臣が反抗もせず受け入れるとは考えにくいからです。

当時のことを記した文献にも考古学的資料にも戦闘の形跡はありませんし、仮に王朝交代があったとしたら初代神武天皇からの素晴らしい功績を歴史書に残すとは考えにくいです。(古代中国でも歴史というのは勝者の歴史に書き換えられ、前王朝につながる資料は破棄されてきました)

こういうわけで武烈天皇の御代に生じた皇統断絶の危機は回避され、さらに継体天皇の御代の王朝交代説も否定します。

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皇統断絶の危機2 称光天皇から後花園天皇へ【室町時代】

たむ
次の皇統断絶の危機は称光天皇のときです

鎌倉時代末期に大覚寺統と持明院統に分裂し両統迭立の時代を経て、南北朝時代に突入します。

北朝の初代天皇は光厳こうごん天皇で 子には北朝第3代崇光すこう天皇・北朝第4代後光厳ごこうごん天皇がおり、この後は崇光天皇の子が伏見宮ふしみのみやを創設し、皇位は後光厳天皇の子へと引き継がれて行きます。南北朝統一後、北朝が皇位を継承していくことになった後も、後光厳天皇の血統から引き続き天皇が輩出されることになり、北朝第5代円融天皇の子が正式に第100代後小松天皇として即位したのでした。

このまま後光厳天皇の血統が皇位に就いていくと思われましたが、101代称光天皇には後継ぎがおらず、やむを得ず伏見宮から天皇を輩出することになり、崇光天皇の血統にもどりました

こうして誕生したのが後花園ごはなぞの天皇です。

ちなみに、伏見宮は後花園天皇の弟である貞常さだつね親王が当主となり、戦後GHQにより皇室離脱させられるまで続きました。

 

皇統断絶の危機3 後桃園天皇から光格天皇へ【江戸時代】

たむ
そして3度目の皇統断絶の危機は後桃園ごももぞの天皇のときです

後桃園天皇には娘しかいなかったため皇位継承が困難になりました。そこで伏見宮家と閑院宮かんいんのみや家から次期天皇候補が選出され、閑院宮家から光格こうかく天皇が誕生しました。

閑院宮家とは江戸幕府の新井白石は皇位継承問題が生じることを見越して創設した宮家で、見事に新井白石が天皇家の窮地を救ったのです。

たむ
詳しいことは以下の記事に記してありますのでそちらをご覧ください。

 

 

現在の皇位継承問題【令和】

当ブログでも何度も題材にしてきましたが、令和2年度現在 現実的な皇位継承者は1人しかいません。

したがって、次の次の代で皇統断絶の危機に瀕する可能性が高いということです。

 

たむ
詳細はわかりやすく説明された以下の記事でご確認ください。

 

皇位継承問題が生じようとしている現在ですが、過去何度もその危機を乗り越えてきています。女系天皇などについての議論もされていますが、そのような議論をする前に過去の例に倣って旧宮家の方々に皇室に戻っていただくということを検討すべきではありませんか?

これまで126代にわたって継続されてきた万世一系の皇統を残すために私たちができることはまだまだあります。今後も現存する世界最古の王朝、現存する世界最古の国 日本を守るために啓蒙を進めていきます。

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