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【宮中祭祀とは】小祭と大祭の違いと意味・歴史について「宮中祭祀一覧表」を用いてわかりやすく解説

日本という国は神武天皇による建国以来、神道と不可分の関係にあり、宮中では天皇陛下や皇族の方々によって祭祀が行われています。今回は宮中祭祀の区分と歴史、祭祀の一覧について紹介してきます。

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宮中祭祀は大祭と小祭に区分され、主宰者等に違いがある

宮中の祭祀は戦前の明治41年9月公布の皇室祭祀令をもとに執り行われていました。

この法令では祭祀を大祭と小祭に分けており、それぞれ祭祀の主宰者が異なります。まずは大祭と小祭の違いについて紹介します。

大祭:天皇が皇族、官僚を率いて自ら殿内で御告文を奏上して拝礼する祭典

小祭:天皇が皇族・官僚を率いて拝礼し、掌典長が御告文を奏上する祭典

以上が大祭と小祭についての簡単な説明です。

御告文とは神社祭祀で奏上されている祝詞のようなもので、皇室の祭祀においてはこれを御告文と言います。また、天皇に事故があるときについて大祭は皇族か掌典長が代行、小祭は皇族か侍従が代拝することになっています。

 

大祭式は天皇が自ら執り行われる祭りで、皇后・皇太子・皇太子妃以下皇族が拝礼される

ここからは大祭式についてさらに詳しく紹介していきます。

大祭式では天皇は黄櫨染御袍を、皇后は略式の十二単を、皇太子(皇嗣)は黄丹袍、皇太子妃は略式の十二単を着て内陣にて拝礼されます。その他の成年皇族についてはモーニングコートロングドレスを着て、宮中三殿の前庭にて拝礼します。これらの後、内閣総理大臣や宮内庁高官ら参列の諸員が拝礼します。

なお、新嘗祭においては天皇は御祭服という純白の生絹で織られた特別な衣装で臨まれます。

 

【宮中祭祀一覧】祭儀名や日付、場所、大祭・小祭の区分と臨時祭を含む各祭祀の簡単な解説

日付祭儀名大祭/小祭の区分場所
1月1日四方拝神嘉殿前庭
歳旦祭小祭宮中三殿
1月3日元始祭大祭宮中三殿
1月4日奏事始宮殿
1月7日昭和天皇祭(先帝祭)大祭皇霊殿・武蔵野陵
2月17日祈年祭小祭宮中三殿
2月23日天長祭小祭宮中三殿
春分の日春季皇霊祭/春季神殿祭大祭皇霊殿
4月3日神武天皇祭/皇霊殿御神楽大祭皇霊殿・畝傍山東北陵
6月6日香淳皇后祭(先后祭)小祭(式年祭は大祭)皇霊殿・武蔵陵
6月30日節折/大祓宮殿/宮中三殿前庭
7月30日明治天皇祭小祭(式年祭は大祭)皇霊殿・伏見桃山陵
秋分の日秋季皇霊祭/秋季神殿祭大祭皇霊殿
10月17日神嘗祭大祭賢所・神嘉殿
11月23日新嘗祭大祭神嘉殿
12月中旬賢所御神楽小祭賢所
12月25日大正天皇祭小祭(式年祭は大祭)皇霊殿・武蔵陵
12月31日節折/大祓宮殿/宮中三殿前庭

四方拝

1月1日の午前5時30分ごろから黄櫨染御袍を召された天皇が神嘉殿前提の幄舎内から四方を遙拝します。

この時に拝するのは皇大神宮・豊受大神宮、天神地祇、神武天皇陵・先帝三代の各山陵、武蔵国一宮氷川神社、賀茂別雷神社、賀茂御祖神社、石清水八幡宮、熱田神宮、鹿島神宮、香取神宮です。

明治2年までは北斗七星の拝礼が中心であって道教的な色彩の強い祭典でした。しかし明治以後は国風を重視した神道的な祭典の復興を重視したことで現在の形になりました。

 

歳旦祭

四方拝の後に掌典職しょうてんしょくが主宰する祭典で、掌典職は玉串を内陣に御着座した天皇に進めて拝礼されます。賢所での祭祀を終えると、皇霊殿、その後に神殿での祭典で御拝礼なさいます

 

元始祭

1月3日に天皇が宮中三殿において天皇陛下が主宰する大祭で、皇位の由来を祝い、国家国民の繁栄を宮中三殿において祈る祭祀です。

この祭りは宮中三殿において天皇が自ら祭典を行われる唯一の恒例祭祀で、皇室と日本の始まりに感謝しこの国を営んできた先人へ敬意を払い、この国と国民の繁栄を祈る祭祀です。

 

奏事始

掌典職しょうてんしょくが掌典職が伊勢神宮の祭祀と皇室祭祀について天皇陛下に報告する儀式で、平安時代の政始や室町時代の神宮奏事始が起源で、昭和20年までは内閣総理大臣が行っていました。

これは祭祀ではなく1年の初めに祭事について述べてよい政治を行おうという儀式として行われているもので、宮殿鳳凰の間で天皇はモーニングコートを着装して行います。

 

昭和天皇祭

昭和天皇祭は先帝を偲ぶために行われる大祭です。昭和天皇の崩御日に皇霊殿で行われ、武蔵野陵に勅使を発見して幣帛を奉ります夜には皇霊殿前庭で御神楽が奉納されます

 

孝明天皇例祭

孝明天皇祭は先先先帝を偲ぶために行われる小祭です。歴代の天皇に対する祭祀は先帝以前3代まで小祭として行われています

小祭であるため本来は天皇と皇太子(皇嗣)の拝礼のみが行われるところですが、先帝の例祭については例外的に大祭と同様に皇后・皇太子妃・皇族方も拝礼されます

 

祈年祭

宮中三殿において行われる五穀豊穣を祈る小祭で、応仁の乱で廃絶後、明治2年に再興されました。

明治5年以降は伊勢神宮への勅使の発遣に加えて官国幣社への幣帛の供進が行われていましたが、戦後に全国の神社への幣帛の供進は廃止されました。

祈年祭と言えば神社祭祀では大祭に位置づけられていますが、宮中祭祀では小祭となっています。これは古代において天皇は神今食・新嘗祭・大嘗祭といった限られた祭祀以外を自ら執り行われることはなく全国の神社や神宮へ幣帛を奉ることが本義であったことが理由です。

 

天長祭

天皇陛下の誕生を祝い宮中三殿で行われる小祭で、天皇陛下は10時から宮内庁長官以下の祝賀を受けられた後に一般参賀を受けられます。

この日は天皇誕生日として国民の休日とされていますが、戦前は天長節と呼ばれていました。

 

春季皇霊祭・春季神殿祭、秋季皇霊祭・秋季神殿祭

春季(秋季)皇霊祭とは春分の日に皇霊殿にて皇室の先祖を祀る大祭です。

明治3年より歴代天皇及び尊称天皇、神功皇后の崩御日を定めてそれぞれ個別に祭祀を行っていましたが、明治時点でも祭祀の対象は120方以上おり、個別に祭祀を行うことは逆に失礼に当たるのではないかということで明治11年に諸天皇・皇后・皇妃・皇親の祭りを合祭して皇霊祭として行うようになりました。

春季(秋季)神殿祭とは皇霊祭に次いで神殿にて行われる神恩感謝の大祭です。

 

神武天皇祭・皇霊殿御神楽

神武天皇祭とは初代神武天皇の崩御相当日に皇霊祭にて行われる大祭です。また、畝傍山東北陵に勅使が発遣されて奉幣及び祭典が行われます。また、夜には皇霊殿前庭にて御神楽が奉納されます。

 

節折

節折は天皇を対象として行われる祓の儀式で、中世以降廃絶していましたが明治4年に大祓とともに再興されました。

節折は荒世の儀、和世の儀で構成されており、天皇はそれぞれの儀式で御服に息を吹きかけ、自ら御麻で祓いを行います。その後、侍従が竹で天皇の体を計り、その竹を折って櫃に入れ、壺に天皇の息を吹き入れて船に乗せて海に流します。

 

大祓

大祓とは国民を対象として行われる祓の儀式で、穢れを祓うことで国家を平和と安寧を祓うために神嘉殿前庭にて行われます

6月30日に行う大祓を各神社では一般的に夏越の大祓、12月31日に行われる年越の大祓と言うこともあります。

 

明治天皇例祭

明治天皇祭とは明治天皇を偲ぶために行われる小祭で、皇霊殿と伏見桃山陵にて祭典が行われます。

 

神嘗祭

その年に収穫された新穀を天照大御神に捧げる神恩感謝の大祭です。

天皇は神嘉殿前庭で伊勢神宮を遙拝し賢所で祭典を行います。また10月16日には外宮、17日には内宮の神嘗祭へ勅使が発遣され奉幣が行われます。

 

新嘗祭

天皇陛下が神嘉殿にてその年に収穫された新穀をお供えし、自身も召し上がる大祭です。

午後6時から8時の夕の儀、午後11時~1時の暁の儀という全く同じ式次第の儀式で構成されており、天皇自ら神饌を皿に盛り付けます。

 

賢所御神楽

賢所御神楽とは夕刻から早朝にかけて賢所前庭の神楽舎にて御神楽を奏上し、神霊を鎮める小祭です。

小祭とはされていますが、皇后・皇太子妃・その他の皇族も拝礼されます

 

大正天皇例祭

大正天皇祭とは大正天皇を偲ぶために行われる小祭です。

皇霊殿と武蔵陵にて祭典が行われます。


たむ
ここからは大祭・小祭以下の祭儀について紹介します
日付祭儀名場所
2月11日臨時御拝宮中三殿
毎月1日、11日、21日旬祭宮中三殿
毎朝毎朝御代拝宮中三殿

臨時御拝

臨時御拝とは恒例祭祀ではなく昭和天皇によって始められた祭典です。明治時代には皇室祭祀令で神武天皇即位相当日を紀元節として祭典を行っていました。戦後、紀元節が廃止され恒例祭祀としての紀元祭は行われなくなりましたが、昭和天皇の御発意により臨時祭として続けられることになりました。

 

旬祭

旬祭とは毎月1日、11日、21日に宮中三殿にて行われる祭典です。

1日は天皇が拝礼し、11日と21日は侍従が代拝されます。この祭祀は明治初期に成立しましたが、昭和50年に侍従の代拝は浄衣を着ての殿上拝礼かたモーニングコートを着ての御殿前の拝礼になりました。

 

毎朝御代拝

毎朝御代拝とは毎朝、宮中三殿に侍従が御代拝し、神饌を備える祭典です。

平安時代の宇多天皇の御代から行われてきた天皇の毎朝の御拝を起源とするもので、現在は侍従がモーニングコートを着て拝礼されます。


たむ
最後に臨時祭祀について紹介します。

式年祭

式年祭とは歴代天皇と先后の崩御日から3,5,10,20,30,50,100,以後100年毎に行われる祭典です。

恒例の祭祀として行われている神武天皇及び先帝への祭祀と、先后及び先帝以前三代に対する式年祭は大祭であり、天皇が山稜にて自ら祭典を執り行われ、皇霊殿では掌典長が祭典を執り行います。先帝以前三代及び先后の例祭、それ以外の歴代天皇の式年祭は小祭であり、天皇が皇霊殿にて自ら祭典を執り行われ、山稜へは勅使を差遣して奉幣を行います。

なお、尊称天皇については山稜への勅使差遣のみ行われます。

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