豆知識

【鎮火祭とは】鎮火祭の意味と時期について「鎮火祭祝詞と古事記・日本書紀神話の内容比較」

日本では古代から様々な恒例祭祀が行われており、その多くが現在まで引き継がれています。

今回は養老令の注釈書である令義解の記述をもとにして神祇令記載の恒例祭祀である鎮花祭についてわかりやすく解説していこうと思います。

こちらのページでは神祇令記載の恒例祭祀の一覧を紹介していますので併せてご覧ください。

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鎮火祭は六月と十二月に宮域四方で行う火災を防ぐための国家祭祀

まずは『養老令』の注釈書である『令義解』の記述をご覧ください。

季夏・季冬 鎮火祭ほしずめのまつり

宮城四方の外角に在り、卜部等火を鑽りて祭る、火災を防がむ為なり、故に鎮火と曰ふ。釈及び古記別无。

【訳】宮域の四方外角において神祇官の卜部が鑽り出して祭祀を行う、目的は火災を防ぐためであり、故に鎮火という。古記も同様の説である。

以上の記述から鎮火祭は季夏(六月)と季冬(十二月)に宮域の四方に於て卜部氏によって行われてきた火災を防ぐための祭りであるということが理解できます。

さらに年中行事書には6月は26日から晦日まで、12月は24日から晦日までの間に行うということが記されています。

『鎮火祭祝詞』の内容と古事記・日本書紀の神話では内容が異なる

『鎮火祭祝詞』

まな弟子に火結の神を生み給ひて、みほと焼かれて石隠り坐して...

【訳】最愛の末っ子として火結神をお生みになって、イザナミ命は陰部を焼かれて亡くなった。

水の神・匏・埴山姫・川菜四種のものを生み給いて、此の心悪しき子の荒びるは、水・匏・埴山姫・川菜を持ちて鎮め奉れと、事教へ悟し給ひき。

【訳】水の神・匏・埴山姫・川菜をお生みになって、この心が荒れすさぶる火結神を水・匏・埴山姫・川菜をもって鎮め申し上げなさいとお教えになった。

以上が『鎮火祭祝詞』の抜粋で、国や八百万の神を生んだイザナミ命は火結神を生んだ際に火傷をして死者の国に至り、よみつ枚坂において水神匏、埴山姫、川菜を生み、イザナキ命に対してこれらの神の力を用いて火結神を鎮めることを教えるということが記し、後半部分では奉幣について述べています。

この祝詞の内容は記紀神話とは若干異なっていますので、比較のために古事記・日本書紀のあらすじを簡単に紹介しておきます。

 

『古事記・日本書紀』

イザナミ命は火之迦具土神を生む際に陰を火傷して黄泉国に至り、イザナキ命は火之迦具土神を身につけていた剣で斬り、そこから何柱かの岩・火・水・剣の威力に関する神が生まれた。この後、イザナキ命はイザナミ命のもとを訪れると、イザナミ命は「私は黄泉国の物を食べてしまった。私はもとの国に帰りたいので黄泉の国の神に相談してきますので、決して姿を見ないでください」と語った。しかし、イザナキ命はこの約束を破り、イザナミ命の変わり果てた姿を見てしまった。これに対してイザナミ命は「私に恥をかかせたな」と怒り、黄泉醜女を遣わせてイザナキ命を追い、イザナミ命は葡萄・筍・桃を用いて何とか黄泉比良坂に至り、大岩でこれを塞いだ。

以上が記紀神話の内容です。

鎮火祭祝詞は記紀神話と若干内容が違いますが、神話の実修祭儀として奈良時代以降行われてきたのです。

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